昼休みの後の5時限目は全校集会だった。
講堂に全校生徒が集まり、それぞれ小さな声でお喋りなどをしている。
それにしても、本当に今日は蒸し暑い。
高い位置にある窓からは、陽射しも照りつけ 大阪樓盤 いるが、この感じだと夕方あたりには一雨降るかもなと唯はあくびを堪えながら思った。
と、B組の列を見やると、クロエが面倒くさいです、帰りたいです、と言う顔で、それでもきちんと整列していた。
…あいつ、大丈夫かな。
なにせ準備室での様子がおかしかったし、今も不機嫌な表情なのを除いても、顔色が若干悪い気がする。
ただでさえ熱を吸収しやすい黒いセーラーワンピースを着ているのに、日光が丁度彼女に当たっているし。
あまりクロエにばかり視線をやるのもマズイ気がしたが、どうしても気になった。
校長のおざなりな説教まじりの、ありがたくもない話の途中で、隣の坂本は大胆に大あくびをしている。
「ぐあー、しんどいわー」
「坂本さん」
苦笑交じりに言った時だった。
ドタンっ!!
まさかとクロエの方にすぐに視線を向けると、黒いワンピースの彼女がクラスメイトに囲まれて横たわったていた。
「姫園っ!!」
咄嗟に駆け寄って、しゃがみ込んで心配している生徒達をかき分けて腕に抱えた。
「おいっ!」
ぺちぺちと頬を叩く。
「…んう…」
目を少し開けて唯を見ている。良かった、意識はあった。
「運びます」
他の教師達に断わってから、クロエを抱き上げた。
呼吸が幾分荒い。
抱き抱えたまま、保健室への廊下を小走り気味に進みながら幾度も顔を確認した。
「だから保健室行っとけっつったろうが…」
怒られたかと思ったのか、クロエは小さな声で呟いた。
「ごめんなさい…あの、大丈夫…歩けるわ…」
「謝らなくていいから」
歩けるわ、の言葉は聞かなかったことにした。
それにしても、軽い。
冷静さを取り戻して、場違いに唯はクロエから甘い香りがするのに気づいた。
砂糖菓子みたいな、そんな香りだった。
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